横浜の試み

優れた商品は行政現場で試用・活用!「平成20年度企業提案型SBIR」・・・神奈川県横浜市
神奈川県横浜市では、市内中小企業から市の行政現場で活用できる、優れた新商品の提案を募集する「横浜市企業提案型SBIR」を行っており、平成20年度の認定企業・新商品が決定しました。

横浜市記者発表資料によると、「横浜市企業提案型SBIR」とは、市内中小企業から市の行政現場で活用できる、優れた新商品を提案してもらい、専門家による審査を経て認定し、市の担当部署のニーズに合致した優れた新商品は横浜市の行政現場で試用・活用する仕組みです。また、認定された新商品の販売戦略づくりへの支援も実施しています。

SBIRとは、"Small Business Innovation Research(中小企業技術革新制度)"の略で、行政現場の技術的な課題を中小企業の優れた技術力を活用して解決を図る仕組みを意味するそうです。

チャレンジ精神溢れる、なかなか先進的な取り組みですね。

募集部門は、「環境部門(横浜市が活用することで、環境行動都市「横浜」の実現に貢献が期待される新商品)」と「一般部門(環境部門以外での、市政に活かせる、市の機関において使途が見込まれる新商品)」となっており、平成20年度は以下の商品が認定されました。

【環境部門】・・・1社1件
クラピア緑化資材による脱地球温暖化計画「屋上・折半屋根緑化資材(緑風花)、壁面緑化資材(クラピアのスダレ)、既存駐車場緑化資材(そのまんま緑化)、舗装校庭緑化資材(学び舎の原っ葉)、新設平面緑化資材(クラピアブロック)、新設斜面緑化資材(クラピア・テクノブロック)」
■概要:耐候性、耐踏圧性等に優れる植物「クラピア」を使用した緑化資材シリーズ。緑化資材による屋上・折半屋根緑化資材(緑風花)、壁面緑化資材(クラピアのスダレ)、既存駐車場緑化資材(そのまんま緑化)、舗装を掘り起こさず緑化できる校庭緑化資材(学び舎の原っ葉)、道路・歩道・広場・建築外溝等緑化資材(クラピアブロック、クラピア・テクノブロック)。施工が容易なことがメリットです

【一般部門】・・・4社4件
(1)野外無線温度モニターシステムの事業構築
■概要:本商品は、測温抵抗体を使用して、30ch の温度データをワイヤレスで一括収集するシステムです。手軽で安心な24時間監視システムを構築し、危険な場所や野外での温度計測の簡素化及び高信頼性を実現できます。

(2)防災・防犯・レスキューを目的とした水中テレビロボットシステムの開発と販売「DELTA-100R」
■概要:社会・都市の安心安全及び地球温暖化防止のための海洋調査・研究等を目的とした現場における操作性・機能性を最重点に設計された水中テレビロボットシステム。人名救助や警備などレスキュー、水中工事時の水中ビデオカメラ、海底探索や海中探索、ダムや貯水施設、ポンプ場での維持管理、管内調査、原子力プールや水槽の点検や調査などに使用でき、前述の目的以外にも小型・軽量・低価格のメリットを生かし、様々な分野での利用が可能です。

(3)アナログ多点コンパレータによる河川水位警報ユニット
■概要:河川の水位を超音波センサーで検知し、6段階の水位を設定された値と比較して知る事により、設置場所で注意報や警報が即時、出力されるので避難判断が自主的にできます。またネットワークを通じて管理場所から随時、水位レベルの状態を監視したり、注意報や警報の時に警報ユニットから指定アドレスにメールを送信することができます。また、急激増水警報機能内蔵で低水位でも増水が急な場合に警報が出力され、低価格で容易に設置が可能でもあり、最近のゲリラ豪雨対策に有効なユニットです。

(4)盗難安心ボルトの量産と販路開拓
■概要:一旦締めた後には特定の工具を用いても緩めることができない構造をしており、容易に取り外す事ができないロックボルトです。昨今多発している屋外の設備、構造物の盗難防止用に活用が見込まれます。

商品や開発企業の詳細は横浜市ホームページをご覧いただければと思いますが、いずれも "市政に活かせる"、"市の機関において使途が見込まれる"というコンセプトに沿うものだけあって、公益性の高い注目製品ですね。

パブリックに活用される、公益性の高い製品の開発を促す上で、効果的な行政のリーダーシップを発揮している事例ではないでしょうか。 <参考>
横浜市ホームページ:「いざ出航横浜ものづくり平成20年度企業提案型SBIR認定企業・新商品 中小企業研究開発等助成対象事業が決定!」(2009年1月13日記者発表資料)

コメント>つくづく横浜市のアイディア、企業の層の厚さがうらやましい。本市は何をもって参画と協働を推進していけばいいのだろうか。