「政策法務の基礎講座」に参加する

 昨年参加した政策法務研修(人材育成課主催)に引き続き今回も参加した。講師も講義の形式も大きく変わったが政策法務の基本は変わらない。
 
 1回目は、団体委任事務・機関委任事務が廃止され自治事務法定受託事務に変わったことで通達行政がなくなり地方自治体の条例制定権の拡大・自治解釈権(自治体が法令の解釈をおこなう)・自治体争訟法務(自治体の行政は自治体が責任をもって訴訟に対応する)をはじめ裁量が拡大したという話であった。

 2回目は、憲法と法令と条例の関係についての話であった。従来、憲法−法令−条例という関係であったため法令よりも厳しい条例(上乗せ条例や横出し条例)はありえなかった(「法律先占論」という。)地方分権後、その考え方はなくなり「実質的判断説」(法律の趣旨が、条例の上乗せや横出しを認める趣旨であれば制定が可能)「標準規定説」(憲法第92条を根拠に国は、地方自治の本旨にかなった法令を定めなければならない。つまり法令と条例はともに憲法の下、対等であるという考え方。今後の主流になるといわれている)などについて学んだ。

 政策法「無」であった私も何度も講義や判例解説をみていくなかでようやく理解が深まった気がする?

 自分に関連する業務をみると、保育所民営化の判例・交通量調査で過大な見積もりをしたという理由で道路の拡張工事が差し止められたという判例など今後の行政の方向づけに影響するのではないだろうかと推測している。

 政策を遂行するには、まず住民に対するパブコメや事前説明等を通してコンセンサスを得ること(行政手続法にある事前説明)また、訴訟を想定し立法事実の積み上げを行うこと(行政不服審査行政訴訟法による行政処分の取り消し等の訴えに対する対応)が必要最低限ではないだろうか(これは私見である)

 講義で紹介されたテキストがとてもわかりやすいので取り上げた。

 

政策法務の道しるべ―憲法が考える法律と条例の関係 (慈学社ブックレット 慈学社政策法学ライブラリイ 15)

政策法務の道しるべ―憲法が考える法律と条例の関係 (慈学社ブックレット 慈学社政策法学ライブラリイ 15)

 今回の講義参加者20名のうち約半数が事務職以外(技師等)の職員であったことも驚きであった。将来、事務職が非正規職員に置き換えられ専門職が多く採用されるということもありえるのかもしれない。