地方公共団体の自主性及び自立性を守れ

ある公務員のブログより

定額給付金と国庫補助金地方分権
 この12月20日には、定額給付金給付事業の費用2兆395億1300万円を含む平成20年度補正予算(第2号)案が閣議決定されました。年明けの通常国会に提出されるようですが、さー、どーなるんでしょーかね。予算(と関連法案)が成立する時期次第(しないかも)で、市町村の予算をどうするのかという問題もありますし、注目ですね(^_^;
 ところで、誰かいうかなあとは思っていたのですが、定額給付金給付事業は自治事務なんだー、地方は配りたくなければ配らなければよいのだーと大臣もおっしゃられるのを見聞きするので、あーやっぱりそーなんだあーなんて思ってます…
 どういうことかというと、定額給付金を配りたくなければ配らなければよいというのは、実際には、市町村が定額給付金給付事業を行わないという判断をすることができない(難しい)と考えているから、そういう発言ができるんでしょーということです。定額給付金給付事業は、例えば人口25万人の都市ならその全員が1万2000円の対象者だったとしても30億円ものお金を住民に給付する事業ですし、それを1世帯で考えても、両親と子ども2人で6万4000円という普通の感覚ならなかなか「いらない。」なんていえない、貰えるものなら当然欲しいと思うような、そんな現金を給付する事業です。その事業の経費(一切)を国が補助金として負担してくれて、手間仕事だけやってくださいというのですから、市町村としては、給付を待っているかもしれない住民のことを考えると、この仕事を断るわけには全然いかないんじゃないでしょーか(;_;)
 まーそんなことは、誰でも直感的に分かることなのでしょうが、要するに自治事務だといっても法律に根拠のある自治体の義務的事務・事業はいくらでもあるところですが、この定額給付金給付事業、市町村には法律上の義務もないのに、なんで事実上引き受けざるを得ないことになるのかというと、結局、お金の力だということです。
 必ずしも悪いことだとは思いませんが、国から補助金が交付される自治体の事業というのはたくさんあります。自治体としては、自らの事業に国庫補助金が交付されることになれば自主財源による事業費の負担が軽減されることになりますし、国からの補助金がなければそもそも事業自体が成り立たないということもよくあることです。そうして、国庫補助金の交付要件を媒介して、自治体の事業を通じた国策の実現が図られるので「ひも付き補助金」とはよくいったものだなあと感心です。
 まあ、国策として国全体を一定の方向に導こうということが必要なことだって世の中にはいっぱいありますので、そんな方法が絶対ダメなんだということではないです。でも、程度の問題というのでしょうか、それともバランス感覚とでもいうのでしょうか、そういったものを失すると、法律に基づかなくても、お金の権力に基づいて自治体の事務を創設することだってできてしまうのです。定額給付金給付事業は、その典型例なんじゃないでしょーか(^_^;
 地方自治法(昭和22年法律第67号)第1条の2第2項にも「国は、…(略)…地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たつて、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない。」と規定されています。地方分権の議論でも、自治体への財源委譲の問題は重要な課題となっていますが、是非とも、自治体の自主性及び自立性が十分に発揮されるように御配慮を賜りますようよろしくお願い申し上げますm(_ _)m

<コメント>
こういう意見をきくと定額給付金より各自治体の財源に配分してほしいと思ってしまいます。