街をきれいにするのが先決か、過料を徴収するのが先決か

記者が行く:神戸「歩きたばこ禁止条例」1年 過料不払い対策課題 /兵庫
 神戸市の「歩きたばこ禁止条例」施行から1年。JR三ノ宮−元町駅間南側の繁華街が路上喫煙禁止地区に指定され、昨年7月からは過料1000円の徴収も始まった。「街がきれいになった」との声がある一方、納付書を無視し過料を支払わない違反者も多いという。喫煙マナーについて考えようと町を歩いた。【金森崇之】

 神戸市中央区の禁止地区では、市嘱託職員の警察官OB10人が交代で取り締まる。小椋三雄さん(61)は「違反者への応対には慣れてきたが、説得に約1時間かかったこともあった」と明かす。

 市によると、今年3月までの過料処分は3051件。違反した場合、その場で徴収されるが、「1000円未満しかない」と申告すれば、職員が住所と電話番号を聞いた上、納付書を手渡す。納付書を通じて過料が納められたのは、322件中93件にとどまる。

 督促状を郵送しても、2〜3割は「あて先不明」で返送される。違反者がでたらめな住所を申告したとみられ、電話さえ通じないケースも。取り締まり中に突然走り去ったり、徴収を拒否するケース(指導無視)が約120件あり、違反者が暴行したなどとして公務執行妨害容疑で逮捕される事件も2件起きた。

 徴収逃れを防ぐため、身分証の提示を求めているが、強制する法的根拠は無い。住所を2回聞いたり、郵便番号を尋ねるなどの対策を始めているが、市の担当者は「現場での粘り強い説得を続けるつもりだが、決め手がない」と頭を抱える。

 小椋さんは「大通りでの喫煙は減ったが、路地で吸う人が増えた」とも。昨年7月に1日平均15・2件だった処分件数は、同8月〜今年1月は同10件前後に減少。2月は同14・4件、3月は12・9件と増加に転じた。市は「喫煙禁止を知らない転入者が増えた」と見る。

 過料を徴収された西宮市の男性(20)は「マナーは守りたいが、禁止だと知らなかった」。市内全域が原則、路上喫煙禁止なのにもかかわらず、過料徴収地区外では吸っていいと勘違いしている市民も多く、周知方法に課題が残る。市は国の緊急雇用対策を活用し、夏ごろから市内の「ぽい捨て防止重点区域」での路上喫煙禁止の啓発を業者に委託する方針だ。

 <路上喫煙やポイ捨てをなくすには、違反者への注意・過料、看板等による啓発、灰皿の設置、自販機の撤去等々が考えられるが、特効薬はない。喫煙者の心に深いインパクトを与えるには地道に同じことを根気よく繰り返すしかないと思う。昔に比べると喫煙者にとっては居心地の悪い気分になっているはずだ。過料はとるにこしたことはないがとることが目的ではない。抑止力として働けばいいのである。>