自治体の判断と国の判断が異なった場合

住基ネット未接続問題、是正に向け国が立法措置検討
 総務省は、地方自治体が法律を守らない場合に、国が是正できるようにする新たな立法措置の検討に着手した。


 一部自治体が住民基本台帳ネットワークシステムに接続しない違法状態が続いている問題を受けたものだ。住基ネット以外の案件にも適用可能で、地方の反発が予想されるため、一般法ではなく、個別自治体への是正措置を特別法で規定する案も出ている。同省は早期の関連法案の国会提出を目指すが、次期衆院選後になる可能性が高く、曲折が予想される。

 現行では、違法状態を抱える自治体を相手取って国が訴訟を起こすことはできず、自治体が「国地方係争処理委員会」などへの審査を申し出ない限り、国は打つ手がない。住基ネットを巡っては、東京都国立市福島県矢祭町が未接続のままでいる。両市町とも都と県の是正勧告を受けた。国立市の場合、2回の勧告に従わないことから、総務省の指示で都がより強い是正要求を行ったが、違法状態は解消されずにいる。

 こうした経緯から、総務省は是正要求に従わない自治体を対象に〈1〉高等裁判所が是正措置を自治体に命ずることを求める訴訟を閣僚が提訴できる〈2〉判決に従わない首長や自治体に罰金を科す〈3〉首長に対する不信任議決の要件を緩和する〈4〉不信任議決の場合、首長は議会を解散できない――を地方自治法改正などで定めることを検討している。

 特別法で対応する案は、対象となる自治体ごとに是正措置を地方自治特別法で規定する方法が浮上している。この場合、憲法規定に基づき、住民投票過半数の同意が必要となる。

(2009年4月22日03時14分 読売新聞)

 地方分権が叫ばれる中、この事由を利用して国が自治体を締め付けるようなことがあってはならない。本来、議会・市民のチェック機能があれば大きく道を外すことは考えられないからだ。

 できれば、住基ネット問題も十分に国県や住民と議論してほしい。学力テストも唯一、不参加だった自治体も参加するようになった。そういう事例もある以上、じっくり時間をかけさせてほしいものだ。