再度、教育委員会の位置づけを考える

教育委員会は、地方自治体に設置される機関である(地教行法、地方自治法教育委員会は、地方公共団体の教育事務を管理執行する機関である。

 さらに、教育委員会は合議制の機関である。地方公共団体は、知事や市長1人の独任制の機関であるからここが大きく異なるところのひとつである。この教育委員会は、市長から命令監督を受けることはなく、独立性を有する機関であるところに特色がある。

 教育委員は、原則五名で成り立ち、必ずその中には保護者が含まれなければならない。教育委員会制度は、教育行政のレイマン・コントロール(素人支配)の趣旨に立つものであり、大局的立場に立って教育行政の方針・重要事項を決定できる識見を有する者を要請しており、必ずしも専門的行政手腕を必要としない。

 狭義の教育委員会とは、教育委員の合議体であるが、広義には、教育長や事務局をさす。

 教育長の職務は、教育委員会の指揮監督の下、教育委員会の権限に属するすべての事務をつかさどる(17条)、その教育長のもとに事務局が置かれる。その事務局に置かれる職員が指導主事や行政職員ということになる。

 教育委員会の権限は、23条に列記されているように、ようはすべての教育に関することすべてが包摂されている。

*ここまでで明確なように、教育行政は、教育委員会の指揮監督の下、教育長やその事務局によってなされるものである。したがって、わたしについていえば教育委員及び教育長の事務の補助を行っているのである。

 30条には、教育機関として学校・図書館・公民館等々が定めてある。教育機関とは、法律的にいえば、教育の目的を達成するための公的な機関で人的物的要素を持つ組織体をいう。学校を例にあげると、校長・教頭・園長・教員等々が置かれる。

 5条学校の設置者は、その設置する学校を管理するとある。つまり設置者である市は、学校の管理のための機関として教育委員会を設置しているので、「教育委員会こそが学校の管理機関」ということである。

 しかし、何から何まで教育委員会が教育事業のすべてをすることは不可能である。したがって学校は大いに主体性をもって学校運営を行うことを要請されている。したがって教育委員会がどの範囲まで学校運営に関与し、どの程度までを校長に任せるかを定めたものが学校管理規則である。

 では、管理規則を超えて教育委員会は、校長に対して関与することはできないのか?答えは「可能」である。

 教育委員会の権限を校長に「委ねた」といっても法律的に「委任」したわけではないからだ。「委任」とは「法律上に定めがあり、ある権限を他に移すことについてあらかじめ承認を与えている場合」と「法定委任」といって「法律自体が、特定の事務を他に移すことを定める場合」しかない。

*学校管理規則で学校長に委ねているの意味は、教育委員会の学校管理の仕事の「補助執行」を校長に命じているということである。補助執行とは、教育委員5名だけでは、すべての仕事ができないから教育長、事務局、教育機関を置いてその職員たちに事務を補助執行させているわけである。したがって、必要があれば教育委員会は、いつでも管理規則を超えて本来の権限行使として校長に指示命令することができる。

結論:教育委員会事務局は、教育委員・教育長の補助執行を行っているということ。また、学校運営において、大半を学校長に委ねてはいるが本来は教育委員会の権限であることを忘れてはならない。批判等はご自由にといいたいが、これは法律論からみた位置づけである。

やさしい教育法規の読み方

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