傷ついた少年の心

不可抗力とはいえ、世の中には、やってはならないミスがある。人間である以上、必ずミスはある。いくら99.99・・・%うまくいったとしても、たった1度、致命的なミスをするととりかえしがつかない。サッカーで言うとレッドカードだ(レッドカーペットではない)

ある少年がある年の2月、大阪の大学病院に手術のため入院することになった。クラスメートが手紙やお見舞いに来てくれてとてもうれしかったという。

ところが、新年度になると状況が一変した。入院中は、大阪の院内学級だったため学校の籍は、一時的に大阪の特別支援学校に移っていた。そして新年度になり、少年のクラスがなくなってしまったのだが、それ以降、お見舞いもなくなってしまった。

同じ院内学級の子は、みんなお見舞いが来るのにどうして自分には来なくなったのだろうか?と入院中、ずっとつらい思いをしていたという。結局、手術もうまくいかず5月ごろには元の学校に戻ってきた。

母親の学校に対する強い不信感・子供の病気が治らない悲しみを聞かされたとき、こちらも申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

スジ論で行くと学校は何も悪くない。転校した子は、すでによその子なのだから年度が替わるとクラスもなくなるし担任もいない。当たり前のことだ。

しかし、誰か1人でも気づく人がいれば・・・教師でもクラスメイトでも保護者でも誰でもいいのだ。

それでも本来、その誰かは教師であるべきだったと私は思っている。

担任の教師は転勤になったのかもしれない。忙しかったのかもしれない。つい、うっかりしたのかもしれない。その子はみんなから嫌われていたのかもしれない。親しい友人が一人もいなかったのかもしれない。
理由は何であれ、レッドカードである。

その後、彼は、元の学校に戻ったが、再度、大阪の院内学級に転籍となった。再手術のためである。少年の回復を祈るとともに、学校は、二度と同じ思いを彼にさせないよう努力をしてほしい・・と思った。