転校と生徒指導の融合問題

教育委員会の)事務職は、「教育」を念頭に置いて業務をしなければならないし、教員は「法令」を念頭に置いて業務をしなければ(保護者や児童生徒への対応は)不十分である。


ケース1
 B市に住んでいるA中学校2年男子生徒Cの父Dから本市へ転校の相談があった。Cは両親離婚後、親権者である母Eと同居していた。しかし、Dの話ではEはアルコール中毒で食事もつくらず1か月以上もCを家に入れないなど育児放棄・虐待があるという。そのためDには親権はないがCをひきとりDの住む本市校区の中学校に転校させたいという。
 A中学校に連絡を取り現状を確認。Eはアルコール中毒であったが暴行の事実は聞いたことがないこと。逆にCは素行が悪く補導歴もあるという。1か月以上も自分から家をあけて徘徊することも珍しくないという。徘徊中、制服すらどこにいったかわからないといっているらしい。
 B市教育委員会生徒指導担当に連絡し引き続きA中学校で生徒指導を継続するよう依頼し、Dには転校等の相談はA中学校で行うべきと説明した。
 
ケース2
 X市に住む保護者Aから区域外就学の相談。中学校2年女子生徒BがC中学校においていじめを受けて不登校だという。距離的に近い本市のY中学校に区域外就学をさせてほしいとのこと。X市教育委員会に確認をとる。明確ないじめとは言い難いが保護者がY中学校へ転校を希望している検討してほしいとのこと。
 X市教育委員会には、いじめが明確でないのであればC中学校で問題解決を図るべきであること、やむをえず転校となった場合でもX市内で転校先を探すべきであることを伝える。しかし、X市教育委員会は保護者が強くC中学校を希望しているので何とかしてほしいと言ってきたため、Bの現在の生徒指導の状況をC中学校から聞き取り。茶髪で素行もよくないことが判明。再度、X市教育委員会及びC中学校に対して引き続きの生徒指導の依頼と区域外就学は認めない旨回答した。

ケース3
私立であるX中学校2年の男子生徒Aの保護者から電話にて本市校区の公立中学校Yへの転校の相談を受けた。保護者は一身上の都合としか転校理由をいわなかった。そこで回答を保留としY中学校と協議。その後、X中とY中とで協議。その結果、AはY中学校の生徒Bに暴行等を加え、そのため一時不登校にさせていたことが判明した。Bへの教育的配慮を理由にY中学校はAの受け入れを延ばすようX中、Aの保護者に依頼したが拒否。今後のAの扱い及びBへの配慮について委員会・X中・Y中とで協議中である。