IT化の費用対効果を出せの声に反論する

ある電算担当の自治体職員さんのブログより

三鷹市立図書館:全5館、全サービスを自動化 きょうリニューアルオープン /東京 - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/area/tokyo/archive/news/2009/01/08/20090108ddlk13040322000c.html

三鷹市立図書館全5館(移動図書館を含む)が8日、本の貸し出しと返却、予約、資料検索のすべてを自動化し、リニューアルオープンする。サービスのすべてを自動化した図書館は全国的にも珍しいという。



5館は07年にシステムを一新し、インターネットで貸し出し予約が可能になった。今回は所蔵する75万点すべてにICタグを取り付け、貸し出しや返却、検索も自動化。利用者は館内の専用テーブルに本を置き、機械に個人用のカードを入れるだけで貸し出し・返却手続きが完了する。
全館でICタグの取り付けを完了させるというのは気が遠くなるような作業です。貸し出し状況も踏まえて段取りを組まなくてはなりません。

ですが、導入後の職員の事務は格段に改善されたことでしょう。また、ICタグの取り付けによる効果は貸し出し・返却の手続の自動化というような事務効率の改善だけにとどまらないようです。

この記事では詳しくは紹介されてはいませんが、三鷹市の場合には1年前位から、利用登録を行った際に発行される貸出カードにリライトカードが用いられているそうです。家電量販店のポイントカードなどで用いられている、カード面に書き換え可能なエリアを持つカードです。三鷹市の場合には、図書館利用者が貸出手続を行った際にカードに借りた本と返却日が印字されるとのことです。(事例紹介がこちらにあります。)

事務効率の改善という視点だけで導入するシステムの仕様を考えていたら、ここまで効果の高いものは生まれてこないでしょう。情報システム担当だけでなく、各業務の担当がここまでのレベルで情報システムを考えることができるということが、情報分野の先進自治体であり続けている底力なのだろうなと感心するばかりです。

<コメント>IT化をする目的は、業務の効率化やコスト削減である。しかし、本来使用者に喜ばれるシステムの構築がなされたかどうかだろう。教育現場においては、学力向上・教員の指導技術の向上。つまり、児童たちや先生にとって使い勝手の良いものを構築しなければならない。維持費や導入コストはもちろん大事だがそれは二の次、三の次だ。